2025.7.29
相次相続控除とは、10年以内に連続して相続が発生した場合、相続人の税負担が過重にならないように、
相続税から一定額を控除できる制度です。
■相次相続控除の概要
相続開始前10年以内に被相続人が相続、遺贈や相続時精算課税に係る贈与によって財産を取得し、
相続税が課されていた場合には、その被相続人から財産を取得した人の相続税額から一定の金額を控除できます。
■相次相続控除適用の留意点
相次相続控除の適用に当たっては、以下の4点に留意しておかなければなりません。
①被相続人の相続人であること
財産を取得する者が被相続人の相続人であれば、相次相続控除の適用を受けられます。そのため、養子縁組を行った孫は規定が適用されますが、
相続を放棄した者は相続人ではなくなるため適用されません。
②相続人に対する相続または遺贈であること
相続開始前10年以内に被相続人が相続または遺贈によって財産を取得し相続税を納付していても、相続人に対する相続または遺贈でなければ相次相続控除の
適用は受けられません。例えば、2025年に亡くなった被相続人の甲が、2021年に亡くなった叔母から遺言により遺産を取得し相続税を納付していても、
甲が叔母の相続人でなければ相次相続控除の適用は受けられないため注意が必要です。
③控除できるのは前回の相続で支払った相続税のみ
相次相続控除は、二次相続における被相続人がその相続の開始前10年以内に発生した前回の相続等によって取得した財産につき課せられた相続税額について
適用されます。例えば、10年以内に祖母・父・長女(未婚)に相次いで相続が発生し、次女が相続人となった場合、長女が父から相続した財産について課せられ
納付した相続税額については適用対象になりますが、父が祖母から相続した財産について課せられ納付した相続税額については対象外になります。
④相続人でない包括受遺者は適用外
相次相続控除の規定では、「相続人」と「包括受遺者」を別に扱っており、相続人でない者で包括受遺者となる者が、遺贈により財産を取得する場合には、
相次相続控除の適用はありません。
以上の留意点を踏まえて、相続が発生したら、被相続人が10年以内に相続財産を取得していないかを確認するようにしましょう。
また、相次相続控除適用の可能性を考慮して、相続税の申告書は10年間保存しておくことが望ましいといえます。
なお、過去に相次相続控除の適用を失念していた場合は、相続税の申告期限から5年以内であれば、更正の請求により相次相続控除を適用することが出来ます。
2025.7.11
令和7年度税制改正において、結婚、子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置について、
適用期限が令和9年3月31日まで2年間延長されました。概要については下をご確認下さい。
■結婚・子育て資金の一括贈与の非課税措置の概要
贈与者 ⇒ 受贈者の直系尊属
受贈者 ⇒ 18歳以上50歳未満の者
非課税限度額 ⇒ 1,000万円(うち結婚費用は300万円を限度)
結婚・子育て資金 ⇒ ①挙式費用、衣装代等の婚礼(結婚披露)費用、家賃・敷金等の新居費用、転居費用など
②妊娠、出産および育児に要する不妊治療、妊婦検診、分べん費等、産後ケア、子の医療費、幼稚園・保育園等の保育料など
③児童福祉法の子育て世帯訪問支援事業および親子関係形成支援事業施設に支払うもの
期間 ⇒ 平成27年4月1日から令和9年3月31日までの拠出
申告 ⇒ 金融機関を通じて非課税申告書を提出
贈与者死亡時 ⇒ 死亡時の残高を相続財産に加算
契約終了時 ⇒ 残高に対して贈与税を課税(一般税率を適用)
手続きについては金融機関の窓口で行います。親や祖父母にあたる方は、金融機関と管理契約を結び、その金融機関にある子や孫名義の口座に、
一括で贈与資金を入金します。子や孫は結婚や子育てにお金を使ったことを証明する領収書等を提出すれば、非課税でお金を引き出せます。
ただ、目的外で引き出したお金や、子や孫が50歳になるなどの理由で契約が終了になった際の口座残高には、贈与税が課税されます。
また、受贈者になる子や孫には、前年の合計所得金額1,000万円以下という所得要件もありますので、ご注意下さい。
2025.6.30
新たに、最新情報コーナーと相続税Q&Aページを公開致しました。
最新情報コーナーでは、当HPの更新情報や、相続税に関する税制改正情報を、
Q&Aページでは、お客様よりご質問頂くことの多い内容の中から、一般的な相続に関する疑問や、
静岡県東部地域特有の疑問まで、お客様の参考になるような情報を発信してまいります。
定期的に更新をしてまいりますので、是非ご確認いただければと思います。